パッケージデザイン展|展示会開催♪クリエイター作品の数々がサッポロファクトリーに集結!
2017年2月20日(月)から25日(土)の6日間において、サッポロファクトリーのアトリウムを会場にパッケージデザイン展 2016が開催されました。
ご覧の様に明るく開放的な空間であるサッポロファクトリーのアトリウム。その中心に展示された作品たちは、それぞれが活き活きと躍るような表情で自らの存在をアピールし、観覧者のハートをがっちりと鷲掴みにしていました。
― デザインによって、どう生まれ変わるのか? ―
この展示会は、事前に道内の中小企業等から「水産加工品」「農産・畜産加工品」「麺類」「調味料類」「菓子類」「飲料」等の商材を募集した上で、昨年10月14日~12月5日の期間においてプロ・アマチュア問わず全国のデザイナーやデザイナーを目指す学生等から広く募集したパッケージデザインを展示するという催しです。言わばクリエイター作品を発表する場としてのデザイン展となっています。
デザインが募集された商品は上の画像にある9品。
◇紅一点 田園江別[みそ]/岩田醸造(株)[札幌市]
◇さっぽろ黒大豆[豆菓子]/池田食品(株)[札幌市]
◇しばれ生ハム/札幌バルナフーズ(株)[札幌市]
◇ビーフハンバーグ/(株)ホクビー[石狩市]
◇生パウンド[ケーキ]/(株)もりもと[千歳市]
◇えぞ熊笹そば/北海道熊笹本舗(有)[登別市]
◇羅臼産時鮭生とろフレーク/カネサン佐藤[羅臼町]
◇鮭スティック/(株)江戸屋[帯広市]
◇きびだんご/(株)天狗堂宝船[七飯町]
バラエティーに富んでいて、クリエイターの創作意欲を掻き立てる非常に魅力的な募集対象商品が揃いました。
最終的に全国から多くの独創的なデザインが寄せられています。同会場では応募全作品が見られるとあって私自信、心躍るような気持ちで会場へと足を運んだ次第です。
2月20日(月)には表彰式が行われ、全国応募作品214点の頂点に立ったのは何と!札幌市のデザイナー新林七也(シンバヤシナナヤ)さんの作品でした♪
札幌市中央区のグラフィックデザインプロダクション「AMAYADORI」のデザイナーである新林さんが手掛けた作品は前述の「えぞ熊笹そば」のパッケージ。
笹の葉を模した帯を巻くという一際目を引く独創的なデザインで見事にグランプリを受賞されています。
商品化に向けたデザインについては、審査委員の方々より、帯の裏面に熊笹の栄養などに関するディスクリプションを入れるなどのアドバイスが寄せられていました。
このデザインのコンセプトは「~ 一目でわかるパッケージ ~」。
シンプルなデザインではありますが、その分、非常に力強く強烈なインパクトを残す作品だと感じました。
見事、狙い通りのデザインで名立たる審査委員の方々からの高い評価を受けた新林デザイナー。
今後の更なるご活躍が期待されます。
準グランプリに輝いたのは「羅臼産時鮭生とろフレーク」のパッケージ作品でした。
透明パックの中のフレークを見せることで視覚的に訴え掛けると共に、湯気がもうもうと立ち昇るホカホカごはんの上にフレークが掛かっているという愛らしくて暖かい「ホッ」とするイラストが食欲を掻き立てます。
上の画像(左)が現行商品です。デザインの募集にあたっては企業側から「中身が見えること」という要望があり、この作品はそれを取り入れてデザインをされたようです。
しかし、商品化に向けたデザインに関しては冷凍保存上の問題も考慮し、現状のアイスカップを利用する形で、魅力的なイラストデザインを生かす方向になる模様です。
この準グランプリ作品は高祖さん(シーズ広告制作会社)と小林さん(イラストレーター)の共同制作によるものです。
チームワークが功を奏した見事なデザインでの受賞となっています。
こちらのお二方も今後の更なるご活躍が期待されます。
グランプリ・準グランプリに続く優秀賞には7作品が選出されています。
こちらもグランプリ、準グランプリ作品に負けず劣らずの素晴らしいデザインばかり。
非常に僅差の中で評価が分かれたのではないか?と推測する次第です。
秀逸なデザインの数々を拝見し、心が震えました。
実はこの日、私は帰社した後も興奮が冷めやらず、幾人かの人たちを捕まえてはその迷惑も顧みず、一方的に熱く語るという「迷惑な行為」を行ってしまいました(笑)
温度差が激しいことは感じていましたが(笑)執拗に思いの丈を語ってしまった私・・・。
この場を借りてお詫び申し上げます(笑)
商品化も考慮した上で一定の制約がある中、200点をも超える作品がそれぞれに自由且つ大胆な発想で強烈な個性を主張していました。正に圧巻の一言です!
尚、対象商品が北海道の物だけに、やはり北海道のデザイナー作品が多く見られました。上はグランプリを受賞した新林さんと同じグラフィックデザインプロダクション「AMAYADORI」所属のデザイナー清野絵理さんの作品です。生クリームの「生感」が中央の起毛シールで表現されています。浮き上がるような立体感が他の作品と一線を画していました。
多くの作品を拝見し、一つの商品デザインでも創る人それぞれのイメージによって伝え方が大きく異なるということを実感しました。見る者の心に訴えかける手法も様々でパッケージデザインに限らず「伝わる」ということの素晴らしさを肌身で感じた次第です。
審査委員賞3点も優れたデザインです。
この日はグランプリ作品から順に拝見したのですが、あまりに興奮し過ぎたのでしょうか?既にこの時点でかなりの疲労感を覚えていました(笑)
右の田園江別は非常にシンプルなデザインですが、凛とした佇まいで存在感を主張しています。
その他にも10点の作品が入選しました。私が最も気に入ったのは左上「原 洋介デザイン室」原洋介さん(東京都)の鮭スティックのデザイン。
なんとも憎めないフォルムの熊が小脇に鮭を抱えて歩いているというおちゃめなデザイン(笑)
思わず頬が緩みました(笑)
全作品を見て感じたのは「鮭スティック」のデザインの自由度が高いということでした。「鮭とば」というテーマがイメージを膨らませ易い素材だったのかも知れません。
「鮭とば」は北海道、東北地方、新潟県(村上市)の冬の風物詩です。実際、私の田舎では今でも冬になるとあちこちの軒先にぶら下がっています。
「とば」の語源はアイヌ語の「トゥパ」から来ている可能性があるということ。「トゥパ」とは「鮭を身おろししたものを縦に細かく切って乾かしたもの」を指すそうです。
北海道のイメージに合う商品と言えますね。
入選作以外にも数多くの優れたデザインが展示されていました。もし店先に並んでいたらついつい手に取ってしまう様なパッケージばかり。非常に「もったいないな」という思いを持ちました。
各デザイナーの魂とも言える作品たち。いつか何等かの形で世に出る日が来ることを祈ります。
デザインが商品に命を与え、需要を創る。それが人々の心と経済に潤いをもたらし、世界をも創るものだと感じています。
2015年度から始まったこの「パッケージデザインコンテスト」ですが、その時の応募対象商品であった「香西農園のおいもと紅玉りんこのパイ(ほんだ菓子司|砂川市)」は、昨年10月から応募デザインを採用した結果、売り上げが前年の倍以上になったという成果も出ているそうです。
本展示会では、正に「デザインの力」をまざまざと感じると共に、デザインの重要性を改めて深く認識することとなりました。
次回も楽しみでなりません。
「パッケージデザイン展 2016」如何でしたでしょうか?
尚、3月20日(月・祝)~ 24日(金)の期間において、函館の蔦屋書店(石川町85-1)でも同展示会が開催されます(7:00~25:00)。見逃された方は是非そちらの会場で秀逸なデザインの数々をご覧になっては如何でしょうか?
最後になりますが、参加された全てのクリエイターの皆様の今後の更なるご活躍を心より祈念しております。
目から鱗の素晴らしい体験でした。